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2017年08月10日

休職時の手当/給料/保険料|傷病手当金の活用・妊娠中の場合

突然の病気やケガでの休職。会社から給料が支払われなくなったとき、当面の生活費や医療費はちゃんと準備できていますか? 実は休職時、給料の代わりに会社員なら誰でも受け取れるお金があるんです。休職の強い味方、健康保険の「傷病手当金」について解説します。

休職時の手当/給料/保険料|傷病手当金の活用・妊娠中の場合

突然、給料がもらえなくなったら?

突然の病気やケガなどが原因で長期間の療養が必要になり、働けなくなったときのこと、考えたことありますか?
一番心配なのはやっぱり、生活していくために不可欠な「お金」の問題ではないでしょうか。
もし、給料がもらえなくなったらどうしよう。
家賃は? 食費は? 医療費だってバカにならない。。
家族だって養わないといけないのに、ちゃんと生活していけるだろうか。。

今回はそんな不安を解消するべく、休職時のお金の話について詳しく見ていきます。

病気やケガでの休職、給料はもらえる?

実は労働基準法では、休職した場合の給料についての規定はありません。
企業によって、休職中でも給料を支給するところもあれば、まったくの無給というところも。
休職した場合に給料を支給するかどうか、支給する場合にどれくらいの金額かは各企業に委ねられています。
休職中の給料について、勤務先の規定をまだ知らないという方は、これを機に就業規則を確認しておきましょう。
では、休職中に勤務先から給料の支払いがない場合、収入ゼロで過ごさなければいけないのでしょうか。

休職時に給料の代わりに受け取れる傷病手当金とは

病気やケガなどによる休職で会社から十分な給料が支払われない場合、会社員であれば「傷病手当金」を受給することができます。
傷病手当金は健康保険の制度で、給料の代わりとして給付金を支給し、本人やその家族の生活を保障します。
健康保険組合に申請すると、給料のおよそ3分の2を受け取ることができます。

ただし、傷病手当金の支給にはいくつかの条件があります。

休職時に傷病手当金が支給される条件

次の4つの条件をすべて満たす場合、傷病手当金が受給できます。

1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休職であること
2. 仕事に就くことができないこと
3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
4. 休職した期間について給料の支払いがないこと

それぞれを詳しく見ていきましょう。

1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休職であること

仕事に就くことができない状態であることを証明できれば、健康保険を利用した療養はもちろん、自宅療養も支給の対象となります。
業務外の事由であることが条件なので、業務や通勤が原因の病気やケガは傷病手当金の対象外です。
この場合は労災保険が適用となり、傷病手当金を含め、健康保険は適用されません。

その他、美容整形などの病気と認められないものも対象外になります。

2. 仕事に就くことができないこと

病気やケガにより、仕事に就くことができない状態かどうかは自己判断や自己申告で決められるものではありません。
医師による、症状経過から見た医学的な所見をもとに判断されます。
傷病手当金の申請書には、仕事に就くことができないことを証明するために療養担当者が意見を記入する欄があります。
受給を検討している場合は、主治医などに事前に相談しておくと良いでしょう。

3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

業務外の病気やケガにより3日間連続して会社を休んだ後、同一の傷病が原因で4日目以降に仕事に就けなかった日から傷病手当金の支給対象となります。
この連続する3日間のことを「待機期間」と呼びます。
この期間については給料が支払われたかどうかは関係なく、有給や休日(土日祝など)も含まれます。

実際にどのような場合に支給対象となるのか例をあげて見てみましょう。

<傷病手当金の支給対象となるケース>
・金曜日、土曜日、日曜日(公休)、月曜日と4日連続で休んだ
・金曜日、土曜日、日曜日(公休)と休んだ後、月曜日は出勤したが、火曜日からまた休んだ

いずれの場合も、3日間連続して会社を休んだ「待機期間」があるため、傷病手当金の支給対象となります。


<傷病手当金の支給対象とならないケース>
・木曜日に休んで、金曜日には出勤した。土曜日、日曜日(公休)と休み、月曜日は出勤したが、火曜日と水曜日にまた休んだ

上記の場合、3日連続して会社を休んだ「待機期間」がないため、傷病手当金の支給対象となりません。

4. 休職した期間について給料の支払いがないこと

傷病手当金は病気やケガなどによる休職で会社から給料が支払われない、あるいは、十分な給料でない場合に、本人やその家族の生活を保障するための制度です。
休職中に会社から給料が支払われている場合は、傷病手当金を受け取ることができません。
ただし、会社から支払われる給料が傷病手当金よりも少ない場合は、その差額分のみ受け取ることができます。

この他、退職後に健康保険を任意継続した場合、任意継続期間中に新たに起こった病気やケガについては傷病手当金の対象となりません。

休職中、いつまでもらえる? 傷病手当金の支給期間

傷病手当金が支給されるのは、支給が開始された日から最長で1年6ヶ月です。
1年6ヶ月を超えると、仕事に就けない状態が続いていても傷病手当金を受け取ることはできません。

傷病手当金の支給開始後に一時的に仕事に復帰した場合、その期間も支給期間に含まれますが、給料が支払われる場合は傷病手当金の支給対象とならないため、傷病手当金を受け取ることはできません。
そのような不支給の期間が含まれていたとしても、仕事に復帰していた期間分の支給期間の延長などはありません。

傷病手当金が支給停止となるケース

以下に該当する場合は、傷病手当金の支給を停止されることがあるので注意が必要です。

1. 給料の支払いがあったとき
2. 出産手当金が支給されるとき
3. 老齢(退職)年金が支給されるとき
4. 障害厚生年金、または、障害手当金が支給されるとき
5. 労災保険の休業(保障)給付が支給されるとき

いずれも傷病手当金より額が少ない場合は、その差額分については支給されます。


では、実際にはどれくらいの金額が傷病手当金として支給されるのでしょうか。

給料と比べて多い? 少ない? 傷病手当金の支給金額

傷病手当金の支給金額は支給開始日以前の標準報酬月額を元に算出されます。
休職前の給料のおよそ3分の2と考えるとわかりやすいです。

厳密に傷病手当金の1日あたりの支給金額を知りたい場合は、以下の式で求められます。


【支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額(※) ÷ 30日 × 2/3】


※ 平成28年4月から現在の算出方法に変更となりました。詳細については以下を参照ください。


例)下記の図を元に傷病手当金の支給日額を求めた場合

(25万円 × 2ヶ月 + 30万円 × 10ヶ月)÷ 12ヶ月 ÷ 30日(*1) × 2/3(*2) = 6,480円 【支給日額】

*1: 30日で割ったところで一の位を四捨五入する
*2: 2/3 を掛けた結果の小数点第一位を四捨五入する


仮に、傷病手当金の申請期間が30日(約1ヶ月)とすると


6,480円 × 30日 = 194,400円


となり、直近の標準報酬月額の30万円(※)と比べると、3分の2程度の金額になっているのがわかります。

※ 実際には給料と標準報酬月額は異なるものですが、ここでは分かりやすくするために標準報酬月額を給料と同等とみなします

支払開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合

支払開始日以前の期間が12ヶ月に満たず、支給開始日以前の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額を求められない場合は、代わりに以下のいずれかから額が少ない方を使用して計算します。

・支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
・28万円(※)

※ 当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

傷病手当金を申請するには

傷病手当金の申請は以下のような流れで行います。

1. 医師による診断
2. 会社への報告
3. 申請書の準備
4. 療養担当者欄の記入依頼
5. 事業主欄の記入依頼
6. 申請書の提出

健康保険の給付金は事後の一括請求が原則としていますが、傷病手当金については支払われない給料を補うものという性質上、1ヶ月ごとでも請求できます。
特に 4. や 5. の医師や事業主の証明については申請期間前に作成した場合、有効なものとして認められないこともあるので、必ず申請期間が過ぎてから申請書を用意するようにしてください。

1. 医師による診断

病気になったり、ケガをしてしまったら、まずはかかりつけの病院で診察してもらいましょう。
症状のことはもちろん、治療期間や治療費などを確認し、今後について医師の指示を仰ぎます。
入院や自宅療養など治療期間が長期にわたる場合は就業可能かどうかもあわせて確認しておくことが大切です。
万が一、就業不能と診断されれば、治療に向けて、休職なども視野に入れて検討する必要があります。
休職の場合はたいてい会社から診断書の提出を求められるので、あらかじめ作成を依頼をしておきましょう。
また、傷病手当金の申請を考えている場合は、申請書の療養担当者欄を記入してもらえるか、この時点で医師に確認しておくと今後の流れがスムーズになります。

2. 会社への報告

業務外による病気やケガで就業が難しいと医師の判断を受けた場合、今後について会社と相談しましょう。
どれくらい会社を休む必要があるかなど状況によっては、優先的に有給を利用するなどして休職という形を取らない可能性もあります。
この場合、給料の支払いが発生するため、傷病手当金は支給されません。

休職することになった場合も給料の支払いがあるかどうかを確認しておきましょう。
給料が十分に支払われない場合は、傷病手当金の受給の対象となります。
傷病手当金を受け取るための申請には会社の協力が必要となるため、休職前にその旨をあらかじめ伝えておくとよいでしょう。

3. 申請書の準備

勤務先の社会保険の担当者から傷病手当金の申請書(健康保険傷病手当金支給申請書)を受け取ります。
会社で用意されていない場合は全国健康保険協会のホームページからダウンロードできるので、印刷しましょう。

申請書を用意できたら、被保険者情報、振込先指定口座、申請内容など被保険者欄について記入します。
記入例もありますので参考にしてください。

なお、支払開始日以前の期間が12ヶ月に満たない場合、申請書とは別に以下の添付資料が必要になります。
ダウンロード後、印刷して使ってください。

こちらも記入例を参考に作成しましょう。

4. 療養担当者欄の記入依頼

傷病手当金の申請書の被保険者欄を埋めたら、次は療養担当者欄です。
傷病名や申請期間中の症状、診察日などを担当医師に記入してもらいましょう。
申請期間前に記入されたものは無効となる場合がありますので、必ず申請期間が過ぎてから依頼するようにしてください。

5. 事業主欄の記入依頼

最後は事業主欄です。
申請者が申請期間中に会社を休んでいたという勤務状況や給料が支払われていないこと(支払われていても十分でないこと)について記入してもらいましょう。

こちらも療養担当者欄と同様に依頼をするのは申請期間を過ぎてからです。

6. 申請書の提出

申請書が作成できたら、全国健康保険協会に提出します。
提出方法は次のいずれかの方法になります。

1. 窓口に書類を提出する
2. 郵送で送付する

近くに全国健康保険協会の窓口がない場合や入院や自宅療養中に傷病手当金を申請する場合などは郵送がおすすめです。

会社の社会保険担当者が代わりに提出してくれる場合もありますので、一度確認してみましょう。

申請してから傷病手当金はいつ受け取れる?

傷病手当金の初回の申請時は審査などがあるため、1ヶ月から1ヶ月半ほどかかることが多いようです。
申請内容に特に問題がなければ、その後、申請時に指定した口座に所定の金額が振り込まれます。

2回目以降については審査がない分、約2週間程度と支給までの期間が短くなる傾向にあります。

いずれにせよ、申請期間が過ぎた後、事後での申請となりますので、実際に支給されるタイミングを考慮して傷病手当金の申請を行いましょう。

妊娠中も傷病手当金が受け取れる場合があります

一般的には病気ではない妊娠中も、以下のような症状が原因で医師から自宅などでの安静が必要だと診断された場合は傷病手当金の対象となります。

・切迫早産
・つわり(重症妊娠悪阻)
・流産
・妊娠高血圧症候群
・子宮頸管縫縮術

など

ただし、配偶者の扶養に入っている場合や国民健康保険に加入している場合は対象外となります。

うつ病の場合は労災保険が適用されることも

うつ病やうつ状態、適応障害などでも就労不能と医師から診断されれば、傷病手当金を受け取ることができます。

ただし、長時間労働などの厳しい労働条件やパワハラなどが原因で病気を発症した場合は労災保険が適用となる可能性があります。
健康保険と労災保険はいずれか一方しか適用されませんので、それぞれの支給条件や支給期間、支給金額などを確認したうえで、どちらで手続きを行うかはあらかじめ決めておきましょう。

過去2年間、傷病手当金の申請を遡ることができます

傷病手当金を始め、健康保険の給付を受ける権利は2年間有効です。

過去2年以内の休職であれば、遡って傷病手当金を申請できます。過去の休職時に傷病手当金を知らなかったという方も傷病手当金の申請をぜひ検討してみてください。

また、傷病手当金の給付金は1日単位で支払われるため、休職していた全ての期間が2年以内に納まっていなくても大丈夫です。
2年以上前に開始した休職の場合も、2年以内に被っている期間が少しでもあれば、その分の給付金を受け取ることができます。

傷病手当金を有効活用して治療に専念しよう

いかがでしょうか?
病気やケガで休職することになっても、生活費や医療費などお金に不安を抱えたままではせっかくの休養も思うようにできません。
給料の3分の2程度の支給額なので十分な収入とは言えないかもしれませんが、傷病手当金を受け取ることができれば、休職中のこうした不安から少しは解放されるはずです。
傷病手当金をうまく活用して、治療に専念できる環境を整えましょう。

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