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2019年06月26日

CI戦略のメリット4点と有名企業のCI事例|CIを作る際にすべきこと

CI(コーポレートアイデンティティ)という言葉は、経営を勉強される方が一度は必ず耳にする言葉です。会社のロゴなどと混同されことがありますが、実は長期的な戦略と関連する概念です。CIについて調べたい方のために、CIの意味や事例から作成時の注意点までまとめました。

CI戦略のメリット4点と有名企業のCI事例|CIを作る際にすべきこと

CIとは?

コーポレートアイデンティティ(略してCI)とは、企業の特徴を明示し他の企業から区別するために使われるデザインやイメージの総称です。会社のロゴが例に挙げられますが、企業理念を含めた会社の長期戦略の1つです。

現代の株式会社組織の元祖とも言われるオランダ東インド会社などは、自社のイニシャルVOCを組み合わせたロゴを船の旗から食器までどこにでもつけるという、素朴なCI戦略をすでに17世紀に展開していました。

CIがもたらす2つの効果

400年も前からコーポレートアイデンティティが使われてきた理由は、CIには自社とその商品を他社から区別する効果(差別化)と同時に、内外に発信するメッセージに一貫性をもたせるという効果(統一化)があるからです。

オランダ東インド会社を例にしますと、VOCロゴの旗を掲げることで他社商船と違うことをアピールし(差別化)、ロゴを一貫してどこにでもつけることで統一化を図っています。まさにCI戦略の先駆でした。

CI戦略とは

現代の企業にとってCI戦略とは、自社の活動内容と重要性を明確にして、他社との違いを明らかにすることです。

具体的には、企業はまず自社または自社ブランドがどのような活動を行っているかを明確に表現します。次に企業の対象となる顧客に自社の活動の重要性を伝え、さらに競合企業との違いを強調していきます。

CI戦略には目に見えるデザインやイメージばかりでなく、目に見えないスローガンや行動規範なども含まれます。

CI戦略のメリット4点

企業がCIを導入することによって生じるメリットは何でしょうか。CI戦略によって、企業のブランドが社会に浸透していくことでライバル企業に差をつけ、明確な理念を掲げることで社会全体に企業の存在意義をアピールするばかりでなく、社員に誇りを持たせて労働意欲を高めます。

綿密な計画のもとに導入されたCIは社会の隅々にまで浸透しますから、短期的な広告の効果よりも大きいと言えます。

CI戦略のメリット1:企業のブランディング化

CI戦略が企業にもたらすメリットで最も重要なものとして、企業のブランディング化があげられます。ブランディングとは顧客が商品から受け取る感情を自社の商品に直結させたり関連付けさせることを意味します。

具体的には、「自分のほしかったものだ」(期待の充足)とか「いつ買っても間違いがない」(持続的な満足感)といった感情を自社の商品やブランドに結びつけていく活動をブランディング化といいます。

CI戦略のメリット2:競合企業との差別化

ブランドが認知される機会を増やし、顧客のポジティブな感情を自社のブランドと結びつけていくことで、自社を競合する他社から差別化することができます。差別化とは自社の商品が競合他社の商品とは違って優れたものであると認知させることです。

一昔前のキャッチコピーに「違いのわかる男のネスカフェ・ゴールドブレンド」というものがありましたが、差別化を狙ったコピーの典型的なものと言えます。

CI戦略のメリット3:企業価値や企業活動の質向上

企業の価値は、資産などの金額によって計算できるものの他に、企業がどれだけ社会に貢献しているのかといった社会的存在意義もあります。CI戦略を通じて企業が利潤追求を超えて社会の未来に貢献することを標榜することで、企業の社会的存在価値が高まります。

さらに社会に役立っているという誇りは、労働意欲の向上を促します。社員のやる気は仕事の質に反映されますから、企業活動の質が向上することも期待できます。

CI戦略のメリット4:対外コミュニケーションの強化

近年の情報技術の飛躍的な発展によって、ソーシャルメディアなどが企業のイメージや評判に与える影響が急激に増大しています。また世界的なテレビネットワークやビジネスニュースの発達で、企業の対外コミュニケーションの重要性が増しています。

CI戦略によって企業の理念を明確にすることで、メディアにおける顧客の認知度や評判が高まり、対外コミュニケーションの効果が増大するメリットがあります。

CI戦略の注意点2つ

企業がCI戦略を練るときに注意しなければならないことが2つあります。CI戦略はロゴやスローガンを決めればそれで終わりというのではなく、厳選されたテーマを持って一貫して遂行されなければならないということです。

CI戦略の注意点1:ネーミングやVIだけを形成しがち

企業の名称やロゴといったものは、CI戦略のほんの一部分に過ぎません。コーポレートアイデンティティによって他社企業との違いを強調するためには、まず自社のコアビジネスや今後の事業展開に関して、はっきりとしたコンセプトを形成しなければなりません。

さらに企業活動の質を向上させるためには、社員がコーポレートアイデンティティに共感を抱いた上で企業の社会的価値を共有して行動に移さなければなりません。

CI戦略の注意点2:テーマを厳選する

メディアの急速な発達に伴って、企業はマーケティング、広報活動、広告といった多岐にわたる分野で、一貫性のある強力なメッセージを発信していく戦略を練る必要があります。対外コミュニケーションの強化を達成するためには、CIの強固な基盤が必要です。

コーポレートアイデンティティは、企業が広範囲にコミュニケーション活動を行っていくときの土台となるものですから、テーマは厳選されたものでなければなりません。

CI戦略の企業事例3選

実際にCI戦略を作成する前に、他社の成功事例を見ると参考になります。今回は日本を代表する企業の中から伊藤忠商事、キリンビール、野村総合研究所の3社をご紹介します。

伊藤忠商事は国際化を狙って1990年代に、キリンビールは事業の拡大に伴って1980年代に、野村総合研究所は東証一部上場を控えた2000年にそれぞれ新たなコーポレートアイデンティティを発表して、企業理念の刷新を内外にアピールしています。

CI戦略の企業事例1:伊藤忠商事株式会社

伊藤忠商事は1991年から1992年にかけて日本的な総合商社からより国際的な「国際総合企業」に成長するため、基盤となる新たなCIの構築を行いました。

このプロジェクトには世界中から何千人もの意見の提出が求められ、構成企業の社員がひとしく共有できる理念が模索されました。

新たな企業理念は8つの言語で表明されるとともに、それに合わせてITOCHUという国際ブランドと新ロゴが制定されました。

量から質へ

伊藤忠商事の新たな企業理念の根幹は、金額で計測できる量的利益ではなく社会や個人への貢献という質的利益の追求を重視することにあります。質的利益の追求と言ったときに、個人の生活の質の向上を含めたことが、集団重視の古い日本的企業理念からの脱却を明示するものとなりました。

例えば人事評価制度を抜本的に見直して仕事と生活のバランスを取りやすくするなど、社会的責任を積極的に果たす国際総合企業へと変貌しました。

CI戦略の企業事例2:麒麟麦酒株式会社

キリンビールは1983年にコーポレートアイデンティティを導入しています。日本企業としては早い時期からCI戦略を活用してきた企業の一つです。

1980年代はキリンビールにとって、コアビジネスのビール事業が頭打ちになってきて医薬などへの事業の多角化を企図していた時期にあたり、新しいCIも多角化にふさわしいものとなりました。

経営資源の多角化と国際化

CIの導入と並行してキリンビールは経営資源の多角化と国際化を推進しました。ライフサイエンス関連で新たに研究施設を設けて造血因子の研究を始め、1984年にアメリカ企業との提携に踏み切っています。

同時にCI戦略の一環で経営理念も刷新し、「価値の創造」という多角化と国際化を意識した概念が導入されました。

CI戦略の企業事例3:株式会社野村総合研究所

野村総合研究所では1997年に社員持ち株制度を導入した後、1998年には社内組織を部門制に変革、社内規定の整備に着手するなど東証一部上場へ向けた戦略的準備を着々と進めていました。

1999年には一部上場準備を主たる任務とする特別プロジェクト室が立ち上げられました。同じ時期に一部上場企業にふさわしいコーポレートアイデンティティの形成を進め、2000年に新しい企業理念「未来創発」を発表しました。

未来創造のコンセプト

未来というものは見通すことができないものであるから、新しい時代の社会をリードしていく発想や価値を自分たちの力で創造して、実現していこうという決意が「未来創発」というコンセプトに込められています。

未来の価値を創造していこうという企業理念は、最新の長期経営ビジョン「Vision2022」の「Share the Next Values!」というステートメントにも確実に受け継がれています。

CIの作るときにすべきこととは?

CIを作るときには、自分の企業が10年、15年後の社会にどういった形で貢献していくことができるのかということを、根本的に考え抜くことが欠かせません。

10年以上先を見据えた長期的ビジョンを持ってCIを作るときになすべきことを、計画書の作成に始まり、調査分析、コンセプト設計を経てトップの決断を受けた後、徹底して周知を図る戦略まで段階別に紹介します。

CI計画書作成

CI戦略の第一歩は計画書の作成です。計画書を作成するときには、10年以上先の社会と企業の未来を見通した事業計画に基づいて、企業が未来にどのような形で貢献していくことができるのかを考えて企業理念を決めます。

この企業理念の骨子が固まったら、ロゴなどのビジュアル・アイデンティティ(VI)や運用手続きなどの細かいことを詰めていきます。

自社の現状調査と分析

企業理念を決めるには、自社の現状分析と調査が必要です。現状分析には、企業のコアビジネスの見直しや従業員の意識調査に始まり、自社の同業者の中での位置づけから将来の事業戦略までが含まれます。

この調査には、社外から専門家の意見を求めることも効果的です。

コンセプトの設計

調査に基づいて企業理念が決まったら、コンセプトの設計に入ります。具体的にはトレードマーク、ロゴ、スローガン、グラフィックデザイン、イメージキャラクターといったものを設計していきます。

経営トップの決定

CI戦略は企業の10年以上先の事業にまで影響を与えるものですから、最後の決定は経営トップが行わなければなりません。

執行権を持った経営陣が計画書の作成に始まり調査、コンセプト設計の各段階で詳細な報告を受けて次の指示を出していけると、決定まで円滑に進捗します。

運用ルールの整備と周知

CIは一度決められると、時間の経過とともに関心が薄れますから、運用ルールを整備して戦略的に周知を図らなければなりません。

CIが社会に浸透するためには、運用のガイドラインや規則といった構造的側面のほかに、社長自らが率先して企業理念の実現に取り組んだり、社員がCIの意味を正しく理解して周囲に発信していくといったような社会的側面も大きな役割を果たします。

長期的な運用や周知を行うCI戦略が必要

今回はコーポレートアイデンティティ(CI)について、メリットから作成時の注意点まで紹介しました。

CIが社会に浸透するためには継続的に運用して周知を図っていくことが必要なのですが、効果を発揮すると広告以上に行き渡りますから非常に費用対効果のよい戦略となります。この機会にCI戦略についての知識を深めていきましょう。

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