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2019年06月12日

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定

複数の国で特許を申請したい場合、それぞれの国で個別申請することなく、簡易的かつ一元的に出願できる方式に道を開いたのが「特許協力条約」です。日本語作成の申請書類だけで、複数国へ特許出願できるその仕組み、メリットやデメリット、関連する国内法について解説します。

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定

特許協力条約とは

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
複数の国で発明の保護(特許)を受けたいとき、簡素で、経済的にも効率よく手続きが進められるような仕組みを構築しましょう、という国際条約が「特許協力条約」です。

経済のグローバル化や知的財産保護への関心の高まりなどを背景に、特許協力条約の重要性は嫌が応にも高まってきています。今回は条約の概要、仕組みから国内法との関連に至るまで、初心者でもわかるように解説していきます。

目的

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
特許の国際出願制度をつくって条約加盟国間の特許出願協力を行えるようにするのが、特許協力条約の目的です。

多国間の特許出願をしやすくし
・新技術を拡散、誰もが使えるように振興していく
・新興国に対しては、新技術業務を提供することによって特許制度の定着と発展を促す
という側面も併せ持っています。

メリットとデメリット

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
複数国に特許出願したい場合、指定の一か国に申請するだけで他の選択国それぞれに申請したのと同じ効果を得られ、さらに国際調査や国際予備審査で特許に関わる判断がしやすくなる、というメリットがあります。

一方デメリットとしては、出願国の数が少ない場合、特許協力条約関連の審査費用の分、各国個別に特許出願するよりも高くつく場合がある、ということがあげられます。

略称

特許協力条約の正式な英名は「Patent Cooperation Treaty」で、ここから「PCT」が略称として使用されています。

特許協力条約に関する各制度に関して、頭に略称をつけて「PCT~」という呼び方をすることもあります。

管理機関

特許協力条約は「世界知的所有権管理機関(World Intellectual Property Organization、通称WIPO)」によって管理されています。

WIPOは知的財産権の保護を促進するために国際連合に設置された専門機関で、スイス・ジュネーブに本部が置かれています。特許協力条約のベースとなった「工業所有権に関するパリ条約」もWIPOで管理しています。

主な締約国

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特許協力条約の主な締約国は、日本、米国、英国、EU諸国、ロシア、中国、ブラジル、フィリピン、ベトナム、オーストラリア、エジプト、南アフリカなどで、2019年6月時点で全世界152か国におよびます。

一方で、アルゼンチン、パキスタン、ベネゼエラ、台湾など数十か国が非加盟となっています。

特許協力条約に定められた4つの制度

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
特許協力条約には「国際出願」「国際公開」「国際調査」「国際予備審査」という4つの制度が制定されており、特許出願の簡素化・効率化を進める枠組みを形成しています。

これらはどのような制度で、特許管理条約の中においてどのような位置づけにあるのでしょうか。具体的な手続き方法やメリットなどを含めて解説していきましょう。

特許協力条約の制度1:国際出願

国際出願は、特許協力条約の形式に沿った願書を一つの国に提出すれば、他のPCT加盟国すべての国に対して同時に出願したのと同じ効果が得られるという制度です。

出願が受理されると「国際出願日」が設定され、「優先権」を主張できるようになります。同じ性質の発明を他国で第三者が申請しても、国際出願日一年以内であれば、その申請受理は保留となるので、特許獲得のチャンスを高めることができます。

出願に必要なもの

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出願するのに必要なものは「願書」「明細書」「請求の範囲」「必要な図面」「要約」の書類五点で、作成後所定の官庁かWIPO国際事務局への提出が求められています。

これらは特許協力条約第3条に規定されているもので、国際出願において使用が認められている言語で作成しなければなりません。

出願の効果

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国際出願がなされると、願書の内容不備がないことを条件に、国際出願日の設定と優先権が発生します。また、受理官庁による点検と処理を受けることができるようになります。

国際出願日が設定されることで、複数以上の国(指定国)において特許申請した場合において、国際出願日が各指定国での正規の出願日として効力を発揮します。また、国際出願についての秘密保持義務が各調査機関とWIPO国際事務局に課せられます。

特許協力条約の制度2:国際公開

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特許協力条約に基づいて国際出願されたものは、WIPO国際事務局が、所定の時期に決めれらた言語と方法を用いてその内容を公開することになっています。この制度を国際公開といいます。

この制度は、特許協力条約の目的でもある技術情報の拡散・利用を促進するために創設されました。公開は原則として優先日(国際出願日に先立ち、国内で特許申請が行われた日)から18か月経過後、パンフレットの形式で行われます。

特許協力条約の制度3:国際調査

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
国際出願で申請された「請求の範囲」中に記載されている技術について、それに関連する新技術は他にないか、管轄国際調査機関が調査する制度を「国際調査」といいます。

特許協力条約に基づいて出願されたすべての案件について、原則として調査が行われます。調査を行う国際調査機関は、条約加盟国の関連官庁または発明に関する新技術の調査を行う政府間機関(日本では発明協会)が担当することになります。

特許協力条約の制度4:国際予備審査

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
「国際予備審査」は、出願する請求の範囲内で、その発明の新規性や進歩性、利用価値などを出願する国での正式審査開始前に予備的に審査してもらえる制度です。

審査請求は任意で、国際出願の出願者のみが請求できます(第三者は不可)。国際調査と同じように国際調査機関が「国際予備審査機関」として審査を行います。審査した内容については「拘束力のない見解」として予備報告が書面で提示されます。

認定と異議の申し立て

発明の単一性(一つの出願に対して一つの発明という原則)がないと国際予備審査機関からみなされたとき、追加手数料支払いとともに異議申し立て(同手数料支払い含む)するという対応を行うことができます。

単一性の認定がなされない場合、主の発明を除き、関連する技術に関する審査がなされないことになります。異議申し立てが認められると、全てについて審査され、その場合異議申し立て手数料も返金されます。

日本における特許協力条約の効果

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
日本では、国際出願から国際調査、国際公開や国際予備審査の特許協力条約各制度に関する申請や手数料支払いに日本語・日本円を用いることが可能となっています。

1978年の条約加盟以来、特許協力条約が国内でも円滑に運用できるように法律が施行され、幾度かの見直しを経て現在に至っています。ここでは、特許協力条約と日本の法律や制度との関わりを紹介し、国内ではどのように運用されているのかを解説します。

日本における法律

特許協力条約に加盟後、条約で規定されている制度を日本国内で利用できるようにするために「特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律」が1978年10月1日に施行されています。

現在に至るまで、条約の一部改定や国内環境の変化に合わせて、数度にわたり法律改定が行われています。

通称

「特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律」は、通称「国際出願法」と呼ばれています。

「国際出願」が前面に出た通称ですが、法律的には「国際調査」や「国際公開」「国際予備審査」に関わる内容も抱合したものになっており、特許協力条約を施行するための唯一の国内法となっています。

所管官庁

「特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律」に関しては、経済産業省の外局である「特許庁」の所管となります。

日本国内において特許協力条約の各制度に関わる請求を行う場合、出願人は特許庁との間で手続きを行うことになります。このことは「特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律」第一章第一条に規定されています。

制度の概要

特許協力条約に関わる各制度について申請を行う場合は「日本語」を用いて出願書類を作成し、「日本国特許庁」へ提出します。

国際調査や国際公開、国際予備審査を行う国際調査機関についても、日本国特許庁が担当し、出願内容の点検や調査、審査報告からWIPO国際事務局への通知までも行います。

特許法との違い

「特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律」が国際出願から国際予備審査に至るまでのいわゆる「国際段階」の手続きを規定しているのに対して、「特許法」は国内での特許申請手続き、いわゆる「国内段階」についてを規定しています。

また、特許法自体は、特許協力条約の国内手続きのみならず、日本国内における特許に関するあらゆることを取り決めているという点において、両者には大きな違いがあります。

特許協力条約以外の知的所有権の協定

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
特許協力条約以外にも、複数の知的所有権の保護に関わる協定が各国間で取り交わされていて、日本もその枠組みに参加しています。

知的財産に関わる諸問題が近年増加しており、WIPO国際事務局が管理する既存の知的所有権保護に関する条約・協定だけでなく、新たな視点からの協定も締結されるようになりました。

ここでは、それらの中の代表的な3つの条約・協定について解説していきます

工場所有権の保護に関するパリ条約

工場所有権の保護に関するパリ条約は、特許や商標、実用新案、意匠だけでなく、工業・商業・農業の産品までの広い範囲の工業所有権を保護するために結ばれた国際条約です。

外国人に自国民と同等の待遇を与える(内国民待遇原則)、優先権制度、各国の特許は相互独立とする(特許独立の原則)を基本原則とし、1883年の採択以来、数度の改定を経て現在に至っています。

特許協力条約はパリ条約19条が土台になっています。

国際特許分類に関するストラスブール協定

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
国際特許分類に関するストラスブール協定は特許の国際分類を定めた1975年発効の国際条約で、この条約に基づき「国際特許分類(特許文献の技術内容による分類)」が作成されました。

もともと各国の特許庁は独自に制定した分類法に基づいて文献管理を行っていましたが、1954年に欧州統一分類法が制定されたのを機に、世界的な統一分類法制定を行ったのがこの協定です。

条約管理はWIPO国際事務局が行っています。

知的所有権の貿易関連の側面に関する協定

知的所有権の貿易関連の側面に関する協定は、通称TRIPs協定と呼ばれ、知的財産に関連する国際取引において、知的財産権の保護を徹底・強化することを目指しています。

自由貿易促進のための世界貿易機関(WTO)設立を規定した1994年制定の「世界貿易機関を設立するマラケシュ協定」の一部で、従来のWIPO国際事務局が管理する枠組みとは違い、WTOが主導する自由貿易促進の一環と位置付けられています。

特許協力条約にはメリットとデメリットを把握しよう

特許協力条約の制度4つと日本における効果|その他の知的財産所有権協定
特許協力条約を利用することで、複数の国での特許出願が容易にできるだけでなく、特許に関する情報も得られるメリットがある一方で、特定の国だけに出願するのなら、この方式は逆に費用面でデメリットが多くなります。

どのような国々で展開し、特許が現在どのような状況にあるのかを把握することがもっとも重要です。今後、海外での特許ビジネス展開を考慮している方は参考にしてください。

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